PROJECT STORY

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プロジェクトストーリー

試作で4日間かかったものを
わずか1日でやり遂げるために

プロジェクト概要

ある日、長崎鉄工所に某工作機械メーカーから「加工機のテーブルを作れないか」という問い合せが入る。その加工機は、加工材料が固定されたテーブルを動かして加工していく構造なので、加工精度の半分はテーブルで決まるといっても過言ではない。そのような重要部品は本来、メーカーで内製化しているのだが、先方の生産体制の変更もあって、外注先である長崎鉄工所に白羽の矢が立った。テーブルの加工に必要な最新設備はあったものの、先方が求めるひと月あたりの生産目標に追いつくことができるかが勝負どころになった。

プロジェクトメンバー

  • 和田 知也Tomoya Wada

    製造部 製造支援グループ
    2009年入社

    大学ではシステムデザイン工学を専攻し、卒業後は他業種に就職したが、就職後もものづくりに携わりたいと思い続けていた。そんな時、地元で精密金属機械加工を手掛ける長崎鉄工所の存在を知り、転職を決意した。
  • 田中 佑河Yuga Tanaka

    業務部 購買グループ
    2017年入社

    経済情報学部卒という文系出身ながら、入社当初は製造部へ。その後、購買グループに配属される。文系でも高校一年生で習う程度の数学が分かれば製造部で十分に活躍できるとのこと。趣味は山登りと風景の写真撮影。

Episode_01

最初は、お客様の希望通りには行かなかった

和田:このプロジェクトは、もともとお客様が自社で作っていた部品を、当社に依頼したものだったので、お客様が求める加工時間やコストスペックにも無理はあったんです。というのも、先方が自社で加工していた機械や条件が当社のものとはちがうので、まったく同じように作るというのは現実的ではないんです。当初、先方が提示した加工時間は、ひとつの製品をつくるのに12時間。でも、当社が初めて試作をしたときには、96時間もかかってしまいました。
田中:この時間をいかに短くしていくか。しかも工作機械という量産品の部品でもあったので、安定して生産供給していかなくてはいけないのが、このプロジェクトの肝でした。
和田:現場のメンバーとも何度も話しあって、切削条件を考えていきましたね。刃物の回転スピードをあげれば早く削れますが、刃そのものがもたなくなる。回転が遅すぎると、そもそも切れない。加工形状によって、最適なスピードと加工物の動かし方を探っていかなくてはいけなくて、プログラムを直しては加工して、またプログラムを直して…という繰り返しでした。

Episode_02

無人化への挑戦という新たなハードル

田中:購買グループでは工具の選定も行うのですが、先方が使っていた同じ工具を使っても、当社の加工機械ではベストでなかったりするんです。クルマでいえば、同じタイヤを使っても、エンジンや車体の違うクルマなら、走行スピードも違うという感じですね。じゃあ、当社で効率をあげていくためには、どんな工具で、どんな条件にしたらいいのか。はっきり言えば、そこには無限の組み合わせがあります。カタログで工具のスペックを見ながら現場の人とも話しあって、色々な工具で試行錯誤を重ねていきました。
和田:当社は多品種・少量生産ばかりなので、量産品はあったとしても月10個の生産程度でした。でも、この案件では月20個が生産目標。そうなると、1日1個の生産ペースで、かつ無人化を図っていかなくてはいけません。無人化というのは、人が常にそばにいて、何かイレギュラーがあれば対応できる体制ではないので、より細心の工具選定と条件出しが必要なんです。
田中:それに工具の値段があがってしまうとコストの問題も出てきます。切削条件との兼ね合いで、どうコストを最適化していくかというのも命題のひとつでした。条件的に早く削れば、それだけコストは抑えられますが、イレギュラーが出やすい。ゆっくり削れば安定性は高まりますが、コスト的に合わない。その最適化をどこに見出すか、という話ですね。

Episode_03

加工時間を1/6まで短縮させることに成功

和田:試作品で96時間かかったものを、1日1台つくるためには最低限24時間以内に出来なくてはいけないわけですから、必死に加工プログラムを考え直しました。工程数を減らしながらも、無人化ゆえに安定生産ができなくてはいけない。工具と加工条件の組み合わせを何度も試して、ようやく加工時間を17〜18時間にまで短縮することができました。これで月20個の生産というお客様の要望するボーダーラインはクリアできると、胸をなでおろしましたね。
田中:今まで使ったことがある工具でも、材質やコーティングが違うだけで、加工速度や条件が微妙に違ったりするんですよ。そういう新しい発見がこの仕事を通じて沢山ありました。
和田:このプロジェクトを通じて、量産品をつくるときの考え方というかアプローチの切り口を知ることができました。私たちの業界では量産品を「流れ物」と呼んでいるのですが、流れ物に関してはこういうやり方があるんだな、と自分のキャパシティも広がったように思います。あと、ものづくりに対して忍耐力がついたのは間違いないですね。あきらめない気持ちというか、挑戦し続けることで、到底無理だと思っていたことも実現できるんだと改めて感じることができました。


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